最近の事件について

Selamat sore!

 

最近は国内の事案で忙しく過ごしておりましたが、その間にインドネシアで、しかも私が留学時に訪問した思い出深い島で悲しい事件が再び起きてしまいましたので、今回はその話をさせていただきたいと思います。

 

まずは、先月28日、スラウェシ島南部のマカッサルという都市にある教会付近で自爆テロと思われる爆発が起きました。マカッサルは、以前こちらのブログでもご紹介したトラジャ村訪問時に立ち寄った大きな街でした。国民の大半が暮らすインドネシアですが、マカッサルがあるスラウェシ島は、キリスト教の方が多く、私が訪問したトラジャもキリスト教と土着文化が混じり合ったような形でした。

事件はこの日にとどまらず。その3日後の先月31日には、首都ジャカルタのインドネシア国家警察本部でも銃撃テロが起きております。

 

報道を見ておりますと、いずれもイスラム過激派の犯行のようですが断定はできないところです。留学時代のカトリック教徒のインドネシア人の友人に聞いてみましたが、最近急に宗教対立が激しくなったわけではないという話をしていましたが、バリ島のクラブやジャカルタの外資系カフェでも過去に爆破テロが起きていることからすると、残念ながら、「多様性の中の統一」というインドネシアの国是の達成への道のりはまだ遠いようです。

 

他にも、一昨年のクリスマスに私が(ほぼ)横断したインドネシア東部のフローレス島でも、4月4日に豪雨による鉄砲水で44名もの方がお亡くなりになってしまいました。

訪問時に現地を案内してくれた友人の家族・親戚の人たちは無事だったようですが、ただでさえコロナウィルスの影響が続く中で、更なる天災・人災までもが襲っており、現地の人々の生活が非常に心配されます。

 

今回は暗い話題になってしまいましたが、インドネシアは元々は気性の穏やかな人が多く、生活していてもそれほど心配になるような危険を感じたことはありませんでしたので、早く本来の姿に戻って欲しいところです。

 

それではまた次回!

フードパントリーのお知らせ

Selamat sore!

皆さん、こんにちは。

ようやく東京都も週明けに緊急事態宣言が解除される見込みとなりましたね。

ここで気を緩めずに、なんとか感染状況を落ち着かせたいものです。

今回は、趣向を変えまして、ボランティア活動のお知らせです。

文京baseというボランティア団体が、フードパントリーというイベントを3月21日に開催します。
これは、協力者の方々から食品を募り、食品支援が必要な方々にお配りするというものです。

知り合いの弁護士から協力の依頼を受けまして、コロナということもあり、生活に苦しまれている方々への支援の一助になればと思い、私も英語版とインドネシア語版のチラシを作成するという形で参加させていただくこととなりました。

身近にお困りの方(インドネシアの方はもちろん、他の国の方々も大歓迎です!)がいらっしゃいましたら、是非とも下記パンフレットをお渡しいただければ幸いです。

それではまた次回!

 

第10回国際民商事法シンポジウムを受けて(その2)

Selamat sore!

皆様こんばんは。

前回は、3月4日に開催され、当事務所のウドムチャイ弁護士もゲストスピーカーとして参加致しました国際民商事法シンポジウムを元に、ジョイントベンチャー法制についてお話しさせていただきました。

このシンポジウムでは、私が留学に行っていたインドネシアについても発表がありましたので、今回はインドネシアについてもう少しフォーカスしてお話したいと思います。

 

インドネシアにおいても、前回お話ししたタイと同様、外国投資に対する規制(ネガティブリスト)があります。

シンポジウムでも発表されていましたが、これまで最新だった2016年版から2021年版に改訂されることとなりました。この話はまた別の機会に詳しくお伝えしたいと思います。

このシンポジウムでは、まず、そもそもインドネシアに対する投資方法として、新しくP T(日本でいう株式会社)を設立するか、それとも既存のP Tを買収するかということがテーマとして取り上げられていました。

新たな会社を設立する手続に関する条文については、本ブログのインドネシア株式会社法を概説した記事(https://nishizawa-law.com/blog_idn/?p=1831)にも掲載しておりますので興味がある方は是非ご覧ください。

一般的には、新たに株式会社を設立する場合、会社設計を自分で決められる自由度はあると思いますが、その反面、手続(特に許認可)に時間・費用がかかってくるデメリットがあると思います。

 

2つ目のテーマは、チェンジオブコントロール条項についてでした。

チェンジオブコントロール条項(COC条項)とは、一般に、株式買収等の理由により、会社に対する支配権の移転が生じた場合にかかる制約に関する条項をいいます。

ここで注意が必要なのは、インドネシアにおいては、必ずしも支配権の移転=株式過半数の取得ではないという点です。この支配権の移転は、実質的な観点から判断されるものですので、シンポジウムでも、例えば現地企業が90%の株式を保有していたとしても、その株式が全て議決権を有しない株式であれば、残りの株式10%(全て議決権付株式)を取得した場合でも支配権の変更にあたると説明されていました。

この支配権の変更に該当する場合には、その会社は、日刊紙での発表や報告書の作成など、従業員や債権者の保護のための様々な手続を行う必要があります。

 

最後の3つ目のテーマはこのシンポジウム全体のテーマであるジョイントベンチャー契約についてでしたが、この部分は、他の国とも共通する部分が中心でしたので割愛します。

 

今回は、インドネシアにおけるジョイントベンチャーについてお話をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。

インドネシアの現政権は、外資に関してかなりの開放的政策を進めている印象ですが、昨年の外資誘致を促進する条項を含むいわゆるオムニバス法の改正に伴い、これに反対した大規模デモが発生する等、今後もその動向を注視していく必要があります。

それではまた次回!

 

第10回国際民商事法シンポジウムを受けて(その1)

Selamat sore!

 

日本では緊急事態宣言の終了が再延期されてしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

前回ご紹介させていただきましたが、先日、当事務所のウドムチャイ弁護士もゲストスピーカーとして参加致しました国際民商事法シンポジウムが開催されました。

ご参加していただきました皆様、誠にありがとうございました!

 

こちらのシンポジウムは、ジョイントベンチャー法制と実務対応がテーマとなっており、マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナムの4カ国それそれについての説明がされました。

 

ご存じの方も多いかとは存じますが、ジョイントベンチャーとは、日本語では合弁会社と訳されますものですね。2つの異なる企業等が共同で出資を行なって1つの新会社を設立する形態をいいます。

別にそんなことしなくても、自分で会社設立をすればいいのでは?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、東南アジアでは、自国産業の保護等を目的として、外国人・外国企業の出資を規制している場合が多く、一定程度の割合で現地の資本を入れなければならないことがあります。また、仮に外国企業等に対する資本規制がなかったとしても、なんのノウハウもない外国において単体で事業を成功させることは非常に難しく、現地の信用できるパートナーを見つけ、ともに事業を行なっていくという意味においても、ジョイントベンチャーは非常に有益な手段となります。

他方で、考え方や文化も全く異なる現地企業と共同で1つの会社を設立・運営するにあたっては、どのように経営方針を決定するか等会社の組織運営について詳細な取り決めを会社設立前に行なうことが必須です。このため、ジョイントベンチャー契約においては、株主構成や、株主の議決権、取締役の選出方法等、さまざまな事柄を事前に協議して取り決めます。

このジョイントベンチャーは、あくまでも契約ですので、契約自由の原則からすれば、どの国でも大枠としては同じような事柄を決めていくことになります。もっとも、現地に会社を設立するからには各国それぞれの法制度に適合した形にしなければなりませんので、その意味で、国ごとにジョイントベンチャーのあり方も大きく異なります。

タイの案件に関しては、当事務所でも数多く取り扱っておりますが、今回のシンポジウムを受けて、インドネシアとはやはり細かいところで考え方が違うと感じる点がありました。

例えば、タイでは、外国企業の定義が外国投資法の中でかなり明確に示されていることから、その基準を満たすような形で、持ち株会社を用いた日本からの投資スキームを組むことができます。ウドムチャイ弁護士も、今回のシンポジウムではこのスキームについてかなり丁寧に説明をしており、非常に興味深かったです。

また会社を設立するのに発起人となるべき株主が3名以上必要というのも、改めて考えると不思議な法律ですよね。日本は1名でも設立できますが、インドネシアでは会社設立も契約と考えるので、2名以上が必要となります。3名以上必要っていうのは特徴的に感じますが、必要な株主の人数が増えれば増えるほど、進出を検討される日本の方々も株主を誰にするかで非常に悩む部分かと思います。

他方、今回のように東南アジア4カ国について同時に説明することで、東南アジア全般で共通する点も多々あることが理解しやすかったですね。タイとインドネシアでいえば、特にネガティブリスト(外国投資規制)にはそれぞれ注意が必要かと思います。インドネシアにおいてはこのネガティブリストが頻繁に変更されますので、投資を行う際はその都度必ず確認をする必要がありますが、タイにおいてもリストが規制の程度によって3つに分かれている等、分かりにくくなっている部分もあり、リスト記載の業種に該当するかは実務でも慎重を要するところかと思います。

今回は、シンポジウムを受けての感想をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。

次回は、今回のシンポジウムの続きとして、インドネシアのジョイントベンチャーについてもう少し詳しくみていきたいと思います。

それではまた次回!

 

アジア・太平洋法制研究会 第10回国際民商事法シンポジウム

Selamat pagi!

本日は、当事務所所属Udomchai Leesin弁護士が法務省法務総合研究所,公益財団法人国際民商事法センター主催国際民事法シンポジウム(オンライン開催)に参加いたしますので、そのお知らせでございます。

日時 2021年3月4日 13時30分〜

(シンポジウムは10時〜17時15分)

詳細は下記のリンクをご覧いただければと存じます。

001339256.pdf (moj.go.jp)

 

今回のテーマは東南アジアでのジョイントベンチャー法制についてでございます。

 

興味をお持ちの方は、事前にお申し込みいただいたうえで、是非是非ご参加くださいませ。

 

インドネシア入国時のコロナ対応

Selamat malam!


今回は、インドネシアに入国する際の、新型コロナウイルスの対応につきまして、在インドネシア大使館H Pの一般的な情報をベースに、私の友人の体験談も踏まえてご紹介したいと思います。

なお、以下の内容は、あくまでも現時点における対応でございますので、今後の動向につきましては必ずご自身で都度、日本在インドネシア大使館のH P等をご確認ください。

 

①日本出国前

まず、インドネシアの入国前に日本でPCR検査を受けることが必要です。

アメリカから最近帰国した友人も受けたと言っていましたし、最近のコロナ禍ではスタンダードな対応かと思います。

フライトの72時間以内に検査を受ける必要があり、英語での陰性証明書を取得する必要があります。

私がコロナ以前にビザを取得した際も、英語の健康診断書が要求されましたが、この英語での証明書というのが意外とネックですよね。

インドネシアの検疫では、「健康証明書」が求められ、決まった書式はないようですが、P C Rが陰性というだけでなく、航空機搭乗に適しており、発熱、咳、のどの痛み、くしゃみ、呼吸困難などの呼吸器感染症の症状がないことも記載してもらう必要があるようです。

こうした柔軟な記載は、クリニックによっては対応していない場合もあるので、海外渡航用の英文陰性証明書の発行ができるかどうか、記載内容を設定できるかどうかを確認した上で検査を受けられることをお勧めします。

 

②インドネシア入国時

ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港では、到着後にも、

・体温測定

・出発時刻前72時間のPCR陰性証明書&健康証明書の提示

・e-HAC(電子健康状態申告書)への入力・内容確認

・健康チェック

があるようです。

 

その上で、さらに、空港から政府指定のホテルへ移動します。

ホテルは随時更新されるリストの中から一応選択できるようですが、現在の外国人向けホテルリストは4つ星〜5つ星のホテルでした。自腹での滞在になる一方で、5日間はその中でずっと過ごす羽目になるので、ここでの選択はかなり重要かもしれません。

 

③ホテル以降

ホテルに到着後、追加でPCR検査が行われ、5日間の自主隔離生活に入ります。

 

インドネシアでは、日常の食事でも日本よりもGojekやGrabのデリバリーサービスが普及していましたが、隔離期間中のホテルでは利用できないようです。このため、3食を完全にホテルに依存することになります。万一滞在したホテルのご飯が美味しくなかったらと思うと、ゾッとします。

 

特に、ホテル隔離中の体温測定等はないようで、5日間のホテル自主隔離の後、再びPCR検査を受けて陰性であれば、入国後14日が経過するまで自宅隔離へと移行します。

なお、インドネシアで受けるいずれのPCR検査費用も自己負担で、さらに陽性だった場合も自費での病院治療となるようです。

いかがでしたでしょうか。

日本もそうですが、インドネシアもコロナ対策は日々変わってしまう可能性がありますので十分な注意が必要です。

そもそも、インドネシアでは、現在、外国人の入国が一時停止とされており、新規ビザの発給も行われておりません。この措置は、現時点では2月8日迄とされていますが、再度の延長もありえるかと思います。

 

それではまた次回!

2021年 新年のご挨拶

Selamat tahun baru!

新年あけましておめでとうございます。

 

昨年は新型コロナウィルスの影響で、どなたも大きな影響を受けた年になったと思います。

私自身、インドネシア滞在を切り上げて帰ってくる事になる等、様々な予定変更を余儀なくされた年でした。

今年こそはと信じたいところですが、インドネシアでは新型コロナウィルスの新規感染者数が年明け以降、ついに1日1万人を超え、20日時点では12000人をも超えているという状況です。

それだけではなく、インドネシアでは年明けにも苦難が立て続けに起こっております。

1月9日、ジャカルタのスカルノ・ハッタ空港から離陸した飛行機が、近郊の海上で墜落するという事故が発生し、乗客乗務員ら62名が亡くなられました。スリウィジャヤ航空という私は使ったことない航空会社でしたが、インドネシアでは各地に航路を持つL C C航空会社です。インドネシアでは2018年にも別のL CCであるライオンエアで墜落事故が起きたばかりでした。そういえば、2018年の墜落事故も、今回と同様、ジャカルタの空港を離陸してすぐの海上で起きていた記憶ですね。今回の事故現場は、プラウスリブ(千の島という意味です)というジャカルタから船で行けるリゾートの近くだったようです。

そんな悲しみも明けないうちに、15日にはスラウェシ島西部でM6.2の地震が発生し、少なくとも81名が亡くなられたとのことです。スラウェシ島は、以前ブログでも書きましたが、日本でも「トラジャコーヒー」の名称で知られるタナ・トラジャがある島です。ただし、島自体は島国インドネシアでも4番目を誇る大きさですので、今回の地震も私が訪れた地域とはかなり離れた場所でした。

亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

他にも、ジャワ島では12日には中部のムラピ山から岩石が噴出、17日には東部のスメル山が噴火したり、カリマンタン島では大雨で2万戸が浸水したりするなど、新型コロナウィルスだけでなく、自然災害が立て続けに起きております。

このように試練が続くインドネシアですが、1つ明るいニュースがあります。

それは、新型コロナウィルスのワクチン摂取が始まったことです。

中国製のワクチンというところで、日本では使用条件や臨床実験結果があまり報道されていないので効果のほどが分からないのですが、ジョコ大統領が13日に接種を行い、これを皮切りに国民全体への摂取を始めました。また、欧米諸国と違い、接種の優先順位は、高齢者ではなく生産年齢(18歳〜59歳)を優先するようです。重症化リスクの重たい方を取るのか、それとも感染拡大阻止・経済再開のために生産年齢人口をターゲットにするのか、命に関わるの極めて重大で、かつ、答えがないという非常に難しい選択ですので議論があるところだと思いますが、いずれにせよワクチン接種が進み、1日でも早くインドネシアをまた訪問できる日を心より待ち望んでおります。

年明けから暗いニュースばかりで気が滅入りそうですが、これからは明るいニュースも増えると信じて頑張っていければと思います。

それでは皆様、本年もよろしくお願い申し上げます。

インドネシア株式会社法 その3〜定款

Selamat sore!

皆様いかがお過ごしでしょうか。

あっという間に年末に差し掛かってまいりました。

日本は再び新型コロナウィルスの感染者数増大に拍車がかかってきてしまいましたが、インドネシアでも状況は同じのようです。

そんな中でも、イスラム防衛戦線の幹部?がサウジアラビアから帰ってきた際にジャカルタの空港に1万人規模で人が集まって出迎えてしまったようで、これが感染拡大に拍車をかけたとも言われています。

友人から送られてきた写真を見ましたが、足の踏み場もないほどのごった返しようで、そりゃ拡大するでしょうという感じでした。ついでに、空港内の備品もかなり壊れてしまったようです。

今年の年越しはどこの国でも特別な年になりそうですね。

さて、今日はずいぶん序盤で止まってしまっていた、インドネシア株式会社法シリーズのうち、第2章から定款を取り上げたいと思います。

なお、本ブログ記載の株式会社法は、同法の概説を目的としており(決して条文の完全訳ではありません)、かつ、以前ご紹介した英訳版に則って記載しておりますので、個別の案件につきましては、必ず別途、弁護士等の法律の専門家に個別にご相談ください。

定款に関する条文はおおよそ次のような構造になっております。

第15条 定款記載事項

本条では第1項で定款に記載すべき事項、第2項で会社法に反しない範囲で任意の定めを設けることができること(いわゆる任意的記載事項)が定められております。

定款記載事項は日本の会社法と大体同じですが、会社の存続期間も定めなければならない点には注意が必要です。但し、基本的には存続期間は無期とする会社がほとんどだと思われますので、あまり意味がある規定ではないですね。

変わっているのが第3項で、定款に記載してはならないものが規定されております。

株式から確定的利息を受領する規定と発起人又は第三者に対して個人的な便益を供与する規定ですね。株式が会社の事業活動から生み出された利益を株主に平等に分配する制度である以上、当然と言えば当然の規定ではあります。

第16条 商号

16条は定款に規定しなければならない「商号」についてが規定されております。

第1項は商号における禁止事項が定められています。他の会社が既に正式に使用している名称またはそれと実質的に同一の名称も禁止されているのですが、地域や業種が全然違ってもダメなんでしょうかね。

第2項では日本でいう株式会社を意味するPTを冒頭に、第3項では公開会社に該当する場合は末尾にTbkをつけなければならないことが規定されております。

結局、第4項で会社商号の使用の手続きに関するその他の規定は政令による旨が定められているので、実際に商号をつける際はもっと細かい規定がありそうです。

第17条 本店所在地

定款で定める本店所在地は、インドネシア共和国内の市又は郡まで定款で特定しなければならないことが規定されています。

第18条 設立趣旨等

定款に会社の設立趣旨、目的及び事業内容を定めなければならないことが定められているだけです。

定款に関する定めはこれしかなく、この後に定款変更の方法等の規定が定められておりますが、これはまた次回に。

それではまた次回!

※本ブログ記載内容は筆者個人の見解であり、所属する法律事務所の見解ではございませんので、何卒ご了解ください。

※個別の案件につきましては、必ず別途、弁護士など等法律の専門家に個別にご相談ください。

法務ブログ始めました(インドネシアの現況について)

皆様、ご無沙汰しております。

更新がだいぶ途絶えてしまい恐縮でございます。

3月下旬より緊急一時帰国したものの、結局そのままインドネシアには戻れずじまいで、現在は東京で業務を再開しております。

従前は、インドネシア留学ブログとして記事を書いてきて参りましたが、8月に無事、留学プログラムを終了いたしました。

これに伴い、今後は心機一転、「インドネシア法務ブログ」に名称を変更しましてインドネシアにまつわる記事を引き続き書いていきたいと思います。

今回は、最近のインドネシア情勢についてお話したいと思います。

まずは世界的な影響を及ぼしている新型コロナについて。

インドネシアは残念ながら、新型コロナウィルスの抑え込みに失敗したと言わざるを得ません。

ここ一週間は新規感染者数も3000人を下回るようになってきましたが、9月~10月は1日4000人程度の新規感染者数で推移していました。

それにもかかわらず、ジャカルタ州知事は、4月から始まった大規模社会的制限(PSBB:日本でいう緊急事態宣言に該当します。)を10月12日付で緩和(移行措置)することを決定しました。緩和措置により、レストランでの飲食が可能(ただし、席数は半分以下の制限があります)となる等、経済の回復を狙った措置が取られています。私のインドネシアの友人も祝日を利用して海に小旅行したと言っていました。

幸いにして、現状では感染者数が落ち着いているので奏功しているとも言えますが、今後の状況は引き続き注視していく必要がありそうです。

(外務省も感染症危険情報レベルをレベル3(レベル4が最高)のまま維持しております。)

他方、菅総理は、就任早々、ベトナムの次にインドネシアを訪問していました。

ベトナムはともかく、インドネシアは感染リスクも低くない中での訪問でしたので驚きましたが、報道の映像を見る限り、ジャカルタではなく、ジョコ大統領の邸宅があるジャカルタ郊外のボゴールで会合を開いたようですね。

ちなみにジョコ大統領は、ボゴールにある有名な植物園内の邸宅に居住しており、土曜日にこの植物園に行くと大統領に会えるかもしれません。

かくいう私も、たまたま土曜日に植物園を散歩していたら、大統領の乗車する車に遭遇しました。大統領も気さくに周囲の人々に手を振って応じ、これにまた人々が群がるといった様子で、国民の人気がうかがえました。

大統領を間近で見た際は写真を撮り忘れてしまった(あっという間に過ぎ去ってしまいました)ので、その後に丘の上から撮った写真ですが、大統領に気づいた人々が道路沿いに群がっているのがお分かりかと思います。

しかしながら、そんな大統領も国内情勢はかなり不安定な状況にあります。

日本ではあまり報じられていませんでしたが、10月は大規模なデモが行われていました。

原因はオムニバス法案と呼ばれる法案です。

オムニバス法案は、文字通り複数の法改正が法案化されたものですが、今回の法案は、雇用創出のための投資誘致を目的としたもので、労働(最低賃金、退職金、失業補償)、投資など11分野について、関連する法律79本を一括して改正するものです。

インドネシアの友人に概要を教えてと聞いたら、1000頁あるからすぐには無理と言われてしまいました。。。

詳細については別途ブログでご紹介できればと思いますが、最低賃金の算定方法改正や退職手当の引き下げ、外資規制の緩和も含む内容だっただけに、労働組合等が大きく反発する事態となり、デモ参加者が暴徒化し、投石、放火等の事態に発展してしまいました。

それに加え、直近ではフランスのマクロン大統領の発言に反応したイスラム団体がさらなるデモを行う事態となっております。。。
こちらは今のところ先のデモほどの暴徒化には至っていないようですが、今後のフランス政府の対応によってはこちらもさらなる問題に発展してしまうかもしれません。

様々な問題が噴出しているインドネシアですが、オムニバス法案は日本企業にとっては進出チャンスといえますので、今後の動向に注目したいと思います。

それでは、また次回!

インドネシアの裁判制度〜その2 裁判傍聴

Selamat sore!

皆様、こんばんは。

日本は緊急事態宣言も解除されましたが、東京では感染者が微増といった形が続いていますね。やはり世間で言われているように、これからは第2波・第3波が必ず来ることを前提に行動していかなければならないのかもしれません。

 

インドネシアでも、感染のピークは過ぎたと見られているようで、制限を緩和する方向で動いているようです。しかし、そもそもレバラン休暇での帰省を防ぎ切れていない上、聞いたところによると、州境の越境違反者やマスクを着用していない者の処罰が、臀部への鞭打ち(つまり、お尻ぺん○んですね)や腕立て伏せというレベルで実施されているようですから、今後もどうなるか分からない状況ですね。

また、現地の弁護士の話では、インドネシアの労働省がコロナウイルスのコントロール状況が不明の場合、外国人労働者に新しい就労許可を発行しないという方針にしている旨の話も上がっていました。

 

長い闘いにはなりそうですが、皆さん頑張りましょう。

 

さて、今回は、まだ新型コロナがインドネシアで感染確認される前に行ってまいりました、ジャカルタ裁判傍聴の雑感をお伝えしたいと思います。

 

私が訪れたのはジャカルタの通常裁判所です。

入り口に入る前に、東京地方裁判所等と同様に荷物検査があります。

と言っても、東南アジアは大きなショッピングモールレベルでどこでもチェックしているので、この辺りは珍しくないですね。

こちらが入ってすぐのエントランス部分です。

それほど広くはありませんが、豪華な作りでした。

こちらが法廷前の廊下です。どこの国でも裁判所の廊下は重苦しい雰囲気ですね。

その日に行われる裁判は、全て電光掲示板に掲示されるため、友人の目当ての事件(大学の課題として、傍聴結果を報告しなければならなかったようです。)を探して指定の法廷に向かうのですが、全く始まる気配がありません。(係員にも確認しているので、場所を間違えたわけではありません。)

多分1時間後になったんだと思うと係員が言うので、仕方なく裁判所の受付を見学に行きました。

裁判体ごとに受付が分かれている日本の裁判所とは異なり、窓口はここ1箇所のようでした。このため、人で溢れかえっています。

待合室には、いろんな裁判手続きに関する説明書きが置いてありました。

さらに、インドネシアでは、(少なくとも制度上は)オンラインでの裁判手続も進んでおり、e-courtの窓口もありました。P Cを持っていない人用ですかね?

いまだにF A Xでのやり取りが続く日本でも早急に進めて欲しいところです。

 

1時間ほど時間を潰して元の法廷に戻りましたが、全く始まりそうにありません。

このままでは無駄足になってしまいそうなので、すでに開廷していた法廷に移動しました。

 

そこでは、法学者を呼んで賄賂罪が成立するかどうかの尋問を行っていたのですが、まず傍聴席のラフさに驚きます。日本ではカメラで法廷を撮影することはおろか、携帯電話を取り出して使用することすら禁止されているのですが、なんと、傍聴席で携帯を充電しながらゲームをしているじゃないですか!!

さらに他の大きめの法廷でも、一眼レフで写真を撮影していても裁判官は何も文句を言いません。。。これは日本の弁護士としてはカルチャーショックでした。私も撮影してみようかと思いましたが、一応は禁止事項のようでしたので控えました。

 

また、傍聴した尋問が専門家に対するものであったせいかもしれませんが、質問が全く一問一答形式になっていませんでした。弁護士がずっと話していたかと思いきや、今度は法学者が回答で延々と話し続けるといった具合です。裁判記録と言うか証言記録はどうやって残しているか不思議です。。。

 

1時間ほどかけて2つの法廷を見て回ったのち、最初に訪れた法廷を再度覗いて見ましたが、最後まで始まらないままでしたので、諦めてその場を後にしました。

 

いかがでしたが?

予想はしていたのですが、法廷の遅延はショックでした。せいぜい30分くらいの遅れならばわかるのですが、2時間以上過ぎても係員も慌てる様子はなさそうです。時間が読めないインドネシアは裁判の時間すら読めないことを痛感しました。

 

それではまた次回!

 

おまけ

訪れたジャカルタの裁判所では、エレベーターが見当たらず、皆、外の廊下と階段を使って移動していました。こちらが、その廊下から外を撮った写真です………隣家が近すぎませんか?

入り口でいくら荷物検査したところで、これなら隣家から火炎瓶等を投げ入れることは十分に可能な距離です。東南アジアのショッピングモールの荷物検査と同じで、裁判所の警備も形式的なものに過ぎないようですね。