今日は、合弁会社設立後に、日本側株主が実質的なコントロールを持つ方法のうち、まず、「優先株」について、説明をいたします。
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なお、本日のテーマに関連して、今回の勉強会で下記のような質問がありました。
【質問】
優先株というからには、議決権については薄められてしまうかもしれないけれども、配当に関しては、薄められた方のグループには必ず配当を有利にしなければならないというようなルールはありますでしょうか。
【回答】
今回ご紹介した例ですが、配当についてはほとんど有利にはなっておりません。資料に、「額面の1%相当額の配当支払を、優先的に受領する権利」とあるように、実質的には優先株でもないのに、議決権だけが制限されているというような例を、今回はあえて挙げさせていただきました。
このように、本当にこれで大丈夫なのだろうかと思ってしまうことであっても、タイ側株主が合意さえすれば、タイの商務省では有効と認められ、定款が登記されます。
ただ、それだとタイの株主には何のメリットもないので、通常はもっと大幅なプレミアムを付けてくださいという話に必ずなりますが、こういったこともタイでは一応適法なものとして認められております。
【質問】
いわゆる「優先株とは何か」という定義がないのでしょうか。
また、何か見解が示された例というものもないのでしょうか。
【回答】
優先株の定義等は特にありません。
ですが、優先株に関する定款を登記するということを事例として重ねていくなかで、認められれば「適法」、認められなければ「違法」という判断の中で出来上がっていったもので、法律にはっきりと書いてあるものではないのですが、そういった事例の積み重ねで認められるようになったというもののようです。
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