新年のご挨拶/民商法の改正について(3)

あけましておめでとうございます。
早いもので2015年もすでに9日が過ぎてしまいました。
今年も、鋭意、タイの法律に関連する情報を発信していきたいと思っておりますので、何卒宜しくお願い致します。

昨年に引き続き、民商法の改正についてご説明をしたいと思います。
本日は、抵当権に関する部分です。

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727/1条

財産を他人の義務履行の担保として設定した抵当権設定者は、抵当権の実行または競売時点の当該財産の価値を超えて義務を負うことはない。

前項の責任を超えて、抵当権設定者に保証人のような責任を負わせる契約は、抵当権設定契約の中であろうと、別契約であろうと、無効であり執行出来ない。

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抵当権設定者の責任を制限する規定が新たに設けられました。明確に合意していても、無効というのはかなり強力に抵当権設定者を保護する意図が感じられます。

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728条

抵当権の実行の為、抵当権者は債務者に対して、書面で合理的期間内(通知が到着してから60日以上)に、義務を履行することを求めなければならない。債務者が通知に従わない場合、抵当権者は、裁判所に対し、抵当物件を差押え競売する為の判決を求めるものとする。

前項において、抵当権設定者が、他人の義務履行の担保として、その財産に抵当権を設定した場合、抵当権者は、抵当権設定者に対し、書面で主債務者に通知をしてから15日以内に、通知をしなければならない。抵当権者が15日以内にこれをしなかった場合、抵当権設定者は、主債務に対する利息及び違約金、その他の付加金で当該15日以降に発生したものについて責任を免れる。

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抵当権者に対して、債務者と抵当権設定者に対する通知を義務付けています。
事前の通知を全くすることなく、いきなり執行を求めるケースはあまりないでしょうが、若干過剰な要求のようにも思われます。特に、主債務者が夜逃げをしてしまったような場合には、苦慮することになりそうです。

今後、タイで抵当権を設定する場合は、手続に細心の注意が必要になりそうです。

 

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