金銭の貸付について

タイでは、金銭の貸し付けはあまり行わない方が無難です。
借主が個人の場合、借りたまま行方が分からなくなっても居所を突き止めることが日本国内と違って至難の業です。日本人なら安心と思われるかもしれませんが、むしろ、タイ国内では、外国人である日本人の方が居所を突き止めることは難しいのです。

また、借主が法人の場合、タイでは代表者の保証をとることは、日本のように一般的ではないので、会社に資産がないとなれば、回収は出来ないと言うことになってしまいます。そのかわり、タイでは、決算書が登記されますから、決算書を取り寄せて、翻訳の上、財務状態や運営の状況を確認することが必要になってきます。

やむを得ず、貸し付けをする場合には、出来る限り担保をとることが必要になってきます。

タイでも不動産に対する抵当権を設定することが出来ますし、外国人であっても債権者として抵当権を設定することが出来ます。
タイの土地法は、外国人が所有者となることを原則として禁止しておりますが、抵当権者となっても、所有者となることはないので、禁止する理由はありません。
抵当権の設定を求めても、合理的な説明なく出来ないという場合には、その借主は返済の意思がないとみなさざるを得ません。

また、抵当権を設定する前に、既に別の抵当権が付いていないかを確認する必要があります。確認する為には、土地局に保管されている土地の権利書のコピーを取得する必要があります。

ただ日本と若干制度が異なり、原則として利害関係者しかコピーを取得出来ないことになっております。
従って、弁護士等に委任して、抵当権設定予定である旨を説明して取得する必要があります。

日本国内で親会社同士強固な関係がある等の場合を除いては、上記のように周到に準備をした上で、金銭の貸付をするのでなければ、貸付金はなかなか弁済されることはないと考えることが必要になってきます。

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