今日は、持ち株会社のケースで、株式に質権を設定して担保に取るケースがありますので、その方法及び有効性について検討したいと思います。
「持株会社について」も併せてご覧ください。
以前に説明をしました持株会社のスキームを使った場合に、最初にタイ側株主が、持株会社に、51,000バーツを出資しますが、その際、日本側株主が、タイ側株主に対して、出資金の51,000バーツを貸し付け、その担保として、タイ側株主の保有する株式に質権を設定することがあります。
こうすることにより、51,000バーツの返還に代えて、タイ側株主から日本側株主がいつでも株式の譲渡を受けられるような契約をすることがよく見られるのです。
このような合意にどこまで有効性があるのでしょうか。
株式を貸付金の担保に取るというケースは、実際現地の法律事務所なんかでも良く紹介される一つのスキームです。有効性については、貸付金の返還に代えて、株式の譲渡を受ける旨の合意は有効であると考えられています。但し、将来株価が高くなっていった場合に、51,000バーツとの差額の精算が必要なのか、必要ではないのかというのは、議論になるところだと思います。これについては、明確な判断は示されていません。
持株会社に限った場合、持株会社が利益を上げることはほんとなく、株価が大きく変動することはあまり想定されないので、貸し付けた51,000バーツの担保の実行として、タイ側株主の保有する株式の譲渡を受けたとして、精算が必要になるケースというのはあまり考えにくいと言うことはいえます。
また、株式の譲渡を受けた場合にタイ法人でなくなってしまい、外国人事業法上、事業が継続出来なくなるのではないか、また、所有していた土地はどうなるのかという問題も生じます。
この場合、日本側株主の方で、別のタイ側株主を準備しておいて、そちらに同時に譲渡するということをして、会社が外国法人となってしまうことを回避するということが実務上は行われています。
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