前回は、とりあえず、タイの中に好きな要素を見つけた上で、タイでビジネスをするという姿勢が必要であるという事を書きました。
今回は、さらにもう一歩進めた、心構えについてお話をしたいと思います。
それは、「タイと日本との違いを認識した上で、リスク判断をする」ことです。
タイと日本とでは、法律や制度などに、異なる部分が数多くあることは、既に説明をしてきたとおりです。
しかし、違いがあるからといって、これを完全に拒絶してしまうと、進出をあきらめざるを得ないことになります。
実際に、タイの法制度や会社の実務について調査をした結果、タイ進出や買収をあきらめてしまうケースも非常に多く見られます。
それが、制度や対象会社に大きな問題がある場合であれば致し方ないのですが、制度の違いによるリスク判断を、日本の会社やその会社の経営者が避けたために、実務的にはあまり大きな問題ではないものでも、小さくともリスクが存在する以上は進められないと、進出や買収をストップしてしまうケースもあり、大変もったいないように思われます。
日本はある意味、過保護な国ですので、あらゆる分野において、法律のガイドライン等が充実していますし、さらに、具体的なケースが記載された解説書があったりして、法律に抵触するかどうかの線引きが、調査をすることにより、すぐに分かったりします。
そして、みんなが横並びに、ガイドライン通りの判断をするので、リスク判断の優劣による違いというのは、それほど大きく差が付かない部分ではあります。
ところが、タイでは、日本ほどは細かくガイドライン等が示されませんので、実際の運用が定着するまでは、細かな部分はよく分からなかったりします。
そういったことを全てリスクととってしまうと、タイでは何も出来ない、という事態になってしまいます。
逆に、明確に違法とは言われていない以上、全て実行してしまうというのも大変危険です。
その場合は、タイへの進出や買収の経験がある弁護士等に、おそらくこの範囲に収まるであろうという見解を求めて、ある程度のリスクを把握したら、それに対して、やるのかやらないのか、という判断を自らすることが、タイにおける実務的な姿勢として重要であろうかと思われます。
判断を避けていると、チャンスを逃したり、逆に、リターンの見込めないリスクをとってしまったりしてしまうので、注意が必要です。
ご不明な点等がございましたら、質問のメールをお問い合わせフォームから送ってください。時間と能力の許す限りで、このブログ上で回答してみたいと思います。
また、ブログの記事は、あくまで一般論ですので、個別の案件に適用された結果については、責任を負うことはできません。個別に専門家に確認するなどして、正確を期して頂くようにお願いいたします。