本日は、タイの労務管理、主に解雇手当について説明をしたいと思います。
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なお、本日のテーマに関連して、今回の勉強会で下記のような質問がありました。
【質問】
タイでは、日本と同じように、解雇には正当事由が必要だというふうに聞いていましたが、今日のお話ですと解雇手当を支払うと理由もなく解雇できるということでしょうか。
また、理由があれば、解雇手当を支払わずに解雇をすることもできるのでしょうか。
【回答】
理由がなくても解雇手当を支払うと解雇ができるのがタイの制度です。
また、理由があれば、解雇手当を支払わずに解雇できることもあります。
たとえば、懲戒解雇ですとか整理解雇がそれにあたります。
【質問】
懲戒解雇で、法律上は払う義務がなくても、解雇手当の支払いを求められることは多いのでしょうか。
【回答】
例えば、懲戒事由があって、取引先からキックバックを受けていたというような、タイ人従業員がいて、それが発覚して懲戒解雇をした場合に、そのタイ人従業員が、解雇手当の支払いを求めて訴えてくるというようなケースは良くあります。ただ、それはもちろん会社としても争う余地があるのですが、そういったケースが多いということはいえます。
【質問】
解雇手当の1日分の算定ですが、勤務期間が10年以上の従業員だと、その間給料の変動があると思うのですが、いかがでしょうか。
【回答】
解雇手当の1日分の算定については、法律にはっきりと書いてあるのですが、最後のお給料が基準になります。
【質問】
勤務期間が120日以上1年未満だと、解雇手当は30日分以上ということですが、勤務期間が120日未満の場合はどうなるのでしょうか。
【回答】
勤務期間が120日未満の従業員への解雇手当ですが、払う必要はありません。試用期間だというような解釈だというふうに理解しています。
上記のとおり、タイでは、解雇手当の支払により、理由なく従業員を解雇出来るという制度が設けられています。硬直的な雇用制度が企業経営を圧迫し、若年層の雇用を妨げているという問題を抱えている日本としては、参考になる法制度ではないかと思われます。ちなみに、日本の労働審判の実務では、1年程度の雇用期間でも、能力不足といった解雇事由にはあたらない理由で解雇した場合、解決金として10ヶ月から12ヶ月分の給与の支払いをすることになるのが通常です。
これは、タイの法制度と比較しますと、10年以上勤務していないと受け取れない金額となり、如何に日本の労働法が労働者保護に手厚いかが分かります。
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