代理出産について

日本人によるタイでの代理出産を利用した行為が話題になっています。

そこで、遅ればせながら、タイでの代理出産についての法規制が、どうなっているかについて簡単に調べてみました。
タイでは、医師によって構成される評議会の認めた医療機関に限って、代理出産の処置を行うことができるということになっているようです。

ただ、評議会の認めた医療機関以外の通常の医療機関においても、代理出産の処置が事実上行われているようで、それに対し、本来評議会が告発するなどの処置が想定されているはずですが、タイの医師によるコミュニティは、閉鎖的かつ内向きであって、医師が医師を告発するようなことはほとんどないことから、上記のような、事実上の代理出産行為が相当程度あるようです。

今回は、マスコミが騒いだことから、認められた医療機関ではないにも関わらず、代理母の処置を行っていた医師が刑事手続きの対象となったということのようです。

また、代理母についても、本来は本人の自由意思によって、任意に代理母となることが予定されているのですが、実際の所は、なんの理由もなく他人の子供を産もうとする人はおらず、貧しい女性がブローカー等の斡旋により、金銭を対価として代理母となるケースがほとんどのようです。

このような金銭的な対価を受けて代理母になったり、その様な行為を有償で斡旋する行為については、処罰する法律はないようです。ただ、今回大きな問題となったことから、罰則を設けるべきであるという議論が大きくなっているようです。

日本でも、法規制の面では、自主規制のレベルで留まっており、タイとほとんど変わらないようです。

それよりも、なぜ問題の日本人は、タイで16人もの子供(ブログ更新時に発覚している人数)を一度に必要としたのか、という点が最も気になるところではあります。

ニュース等では、相続と関係があるという推測も出ているようですが、本人の父母が亡くなるなどして、自分が相続する際には、本人の子供(父母の孫)の数は全く関係ありません。但し、本人が万一、亡くなってしまった場合、代襲相続が生じるので、ほぼ解決不能なくらい、ややこしいことにはなります(それが意図だとは思えませんが)。

他方で、本人が亡くなった後の相続税対策の為に子供を増やすという行為は、相続争いが解決不能なくらい深刻になることとの引き替えとしては、全く成立しません。

そうであるならば、タイには相続税がありません(相続税には富の再分配の機能がありますが、タイの支配者層はそれに抵抗しているのです)ので、是非はともかく、日本国籍を放棄してタイ国籍を取得する方法(但し、かなり難しいようですが)を考えた方が、16人の子供を代理出産してもらうことに比べれば、比較の上ではまだ合理的なように思います。

従って、今回の件は、基本的には相続とは関係ないのではないか、という感じがします。
おそらく、なんらかの特殊な思想信条に基づくものなのではないでしょうか。
だとしますと、子供を多く持ちたいという考え自体をどうこう言うことはできませんし、現時点で、これを処罰する法律がない以上、違法であるという評価も難しいと思われます。

ただ、こういうような異常な行為によって、本当に子供が欲しい人たちが、ネガティブな影響を受けてしまうことだけが懸念されます。

また、なによりも、子供達が無事に成長してくれることを祈ります。

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