第10回国際民商事法シンポジウムを受けて(その1)

Selamat sore!

 

日本では緊急事態宣言の終了が再延期されてしまいましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

前回ご紹介させていただきましたが、先日、当事務所のウドムチャイ弁護士もゲストスピーカーとして参加致しました国際民商事法シンポジウムが開催されました。

ご参加していただきました皆様、誠にありがとうございました!

 

こちらのシンポジウムは、ジョイントベンチャー法制と実務対応がテーマとなっており、マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナムの4カ国それそれについての説明がされました。

 

ご存じの方も多いかとは存じますが、ジョイントベンチャーとは、日本語では合弁会社と訳されますものですね。2つの異なる企業等が共同で出資を行なって1つの新会社を設立する形態をいいます。

別にそんなことしなくても、自分で会社設立をすればいいのでは?とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、東南アジアでは、自国産業の保護等を目的として、外国人・外国企業の出資を規制している場合が多く、一定程度の割合で現地の資本を入れなければならないことがあります。また、仮に外国企業等に対する資本規制がなかったとしても、なんのノウハウもない外国において単体で事業を成功させることは非常に難しく、現地の信用できるパートナーを見つけ、ともに事業を行なっていくという意味においても、ジョイントベンチャーは非常に有益な手段となります。

他方で、考え方や文化も全く異なる現地企業と共同で1つの会社を設立・運営するにあたっては、どのように経営方針を決定するか等会社の組織運営について詳細な取り決めを会社設立前に行なうことが必須です。このため、ジョイントベンチャー契約においては、株主構成や、株主の議決権、取締役の選出方法等、さまざまな事柄を事前に協議して取り決めます。

このジョイントベンチャーは、あくまでも契約ですので、契約自由の原則からすれば、どの国でも大枠としては同じような事柄を決めていくことになります。もっとも、現地に会社を設立するからには各国それぞれの法制度に適合した形にしなければなりませんので、その意味で、国ごとにジョイントベンチャーのあり方も大きく異なります。

タイの案件に関しては、当事務所でも数多く取り扱っておりますが、今回のシンポジウムを受けて、インドネシアとはやはり細かいところで考え方が違うと感じる点がありました。

例えば、タイでは、外国企業の定義が外国投資法の中でかなり明確に示されていることから、その基準を満たすような形で、持ち株会社を用いた日本からの投資スキームを組むことができます。ウドムチャイ弁護士も、今回のシンポジウムではこのスキームについてかなり丁寧に説明をしており、非常に興味深かったです。

また会社を設立するのに発起人となるべき株主が3名以上必要というのも、改めて考えると不思議な法律ですよね。日本は1名でも設立できますが、インドネシアでは会社設立も契約と考えるので、2名以上が必要となります。3名以上必要っていうのは特徴的に感じますが、必要な株主の人数が増えれば増えるほど、進出を検討される日本の方々も株主を誰にするかで非常に悩む部分かと思います。

他方、今回のように東南アジア4カ国について同時に説明することで、東南アジア全般で共通する点も多々あることが理解しやすかったですね。タイとインドネシアでいえば、特にネガティブリスト(外国投資規制)にはそれぞれ注意が必要かと思います。インドネシアにおいてはこのネガティブリストが頻繁に変更されますので、投資を行う際はその都度必ず確認をする必要がありますが、タイにおいてもリストが規制の程度によって3つに分かれている等、分かりにくくなっている部分もあり、リスト記載の業種に該当するかは実務でも慎重を要するところかと思います。

今回は、シンポジウムを受けての感想をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。

次回は、今回のシンポジウムの続きとして、インドネシアのジョイントベンチャーについてもう少し詳しくみていきたいと思います。

それではまた次回!

 

VISA(ビザ)取得手続

今日はインドネシア大学留学にあたってのビザ取得手続について書いていこうと思います。

取得の流れは大まかに次の2つに分けられます。

1 telex VISA (VTTともいいます。)申請手続

2 VISA申請手続

 

まず、上記のうち1の方から説明していきます。

私は今回初めてビザの申請を行うので知らなかったのですが、一時滞在ビザの申請には大学や会社からの受入通知等だけではダメで、まずビザ発給許可証(telex VISA)を、大学側の手続により日本にあるインドネシア大使館に送ってもらう必要があります。

しかし、この前座とも言うべき手続がかなりの曲者でした。。。

まず、大学側から「telex VISAの手続には4~6週間かかるので急いで手続をしてほしい」と言われて申請フォームが送られてきたのが入国予定日の約2ヶ月前。

それだけなら急いでフォームを書いて送ればいいのですが、併せて「 telex visa fee としてRp 200.000を急いで送ってほしい」と言われました。

20万というと、日本の通貨感覚からいえば高額に思えるのですが、ルピアの2019年7月現在のレートからざっくりいうと、1000で割って8をかけたくらいが円での換算相場です。

つまり、20万ルピアは、円換算では1600円なのです。。。彼らは1600円を送金するのに、日本の銀行でいくらかかるか知っているのでしょうか。。。私はBNIというインドネシアの銀行の東京支店から振込みましたが、窓口の方から何度も「本当に送るのか。送料の方が高くなるぞ。」と言われました。

最終的に、telex visa feeの支払いから約1ヶ月が経った頃にようやくtelex VISAがpdfで送られてきました。

 

この時点で既に出国予定日まで残り3週間というところでしたので、急いで本丸の2.ビザ取得申請を行います。

必要書類は在日本インドネシア共和国大使館(KBRI)のHP(https://kbritokyo.jp/visa/#link09)に詳しく載っていましたので、ここでの説明は割愛しますが、新たに作成が必要な履歴書や申請書、英文推薦状等のフォーマット・見本もHPに記載があるのでそれらを参考にしつつ準備をします。

大学がきちんと必要書類をまとめて送ってくれていたこともあり、特に書類不備を指摘されることもなく、申請から3日後にビザの準備がされていました(担当の方には、「曜日はいつでもいいけど、受領手続開始時刻の14時に来た方がいい」といわれました。理由は後で述べます。)。

思いのほかあっけなかったビザ申請手続でしたが、ネックといえば、

①インドネシア大使館(東京)が目黒駅と五反田駅のちょうど間くらいにあり、絶妙に行きにくい場所にあること

②受付時間が、申請は午前中の2時間、ビザ受領は午後の2時間しか認められていないこと、

③そして、前に一人しかいないからすぐ回ってくるかと思いきや、実は旅行代理店の方で、手元にパスポートを10冊以上持っていたこと(これが14時に来た方がいい理由でした。もっとも、14時前に行っても、既に閉ざされたドアの前に行列ができていましたが。)

くらいでしょうか。

ただ、私は幸いにも東京在住でしたのでそれほどネックには感じませんでしたが、この手続を行えるのは東京か大阪だけですので、申請時と受領時の2回は必ず行かなければならないことを考えると、遠方の方々は代理店に頼らざるをえないのかもしれません。

手続を自分でやってみるまでは大使館でのVISA手続に時間がかかるものとばかり思ってましたが、むしろtelex VISAに時間がかかるので、銀行の送金手数料に躊躇うことなく早めに申請手続は行われることをお勧めします。

 

※おまけ

申請書の修正は、がっつり修正テープで行ってました(し、そのように行うよう貼り紙にも書いてました)。この辺りのラフさもインドネシアならではというところでしょうか。

 

※上記内容は2019年7月26日時点の情報でございます。

その後に変更される場合もございますので、手続時には必ずご自身でご確認ください。