ゴトン・ロヨン

Selamat pagi!

 

おはようございます。

 

早速ですが、タイトルにある「ゴトン・ロヨン」(gotong royoung)という言葉、みなさまご存知でしょうか。私も今回の件で初めて知ったのですが、「相互扶助」を意味する言葉です。

なぜこの言葉を紹介したかと言いますと、インドネシアでは、政府主導の新型コロナウィルスワクチン接種の他に、企業主導の自主接種プログラムも進んでおり、これが「ゴトン・ロヨンプログラム」という名称なのです。

 

このように、インドネシアも官民双方でワクチン接種を展開していますが、現在の感染状況は深刻と言わざるを得ません。

一時期は一日の感染者数が2000人台にまで落ち着いたインドネシアでしたが、この度のデルタ株の蔓延により、7月7日ではとうとう一日3万人もの方々が感染する事態となっております。

感染者数の急増によって病床も逼迫しており、N H Kの報道では、首都ジャカルタの病床は94%まで埋まる状況となっているようです。

 

駐在されている日本の方にも深刻な影響が出ておりまして、直近14日間で、現地在中の日本の方が6名も亡くなられました。心よりご冥福をお祈り致します。

 

これほどまでに急速に感染拡大している原因は不明ですが、どうやらレバラン休暇(イスラム教の断食明け休暇)で、故郷に帰省をしたことも一因としてありそうですね。正確には、政府は、今年のレバラン期間にあたる5月6日〜17日までは帰省目的での交通を禁止していたのですが、逆にこの期間の前後を使って移動をする人も多かったようです。公表されている感染者数のグラフを見ると、5月15日頃は1日の感染者数が2000人台だったのが、現在に至るまで一気に急増しているのも、このような推測と合致してしまっていますね。

 

そういえば、なんとかワクチン接種者を増やそうと、ワクチンを接種すれば、鶏を丸々一羽プレゼントという奇抜な奨励策を駆使している地方もあるようですが、どこまで効果があるのか・・・。

 

ただでさえ大変な状況な中で、インドネシア政府は、7月4日、新たに外国人が出入国をする際にワクチン接種を条件としたため、現地に済む外国の方には大きな混乱が生じています。

入国条件にワクチン接種を条件づけるのはわかりますが、出国まで規制をかける理由はよくわからないですね。空港行くまでに国内移動が発生することを懸念しているのでしょうか。

 

モデルナ社製やファイザー製でも、ワクチンを打てば一定の確率で副反応が出ると言われる中で、病床の90%以上がすでに埋まっていると言われたら、インドネシア国内でワクチンを打ちたくないという方も多い気がしますし、インドネシアでは使用されている中国製ワクチンは、日本で使用されているものとは違い、従来の製造方法で作られた不活化ワクチンなので、帰国してmRNAワクチンを打ちたいという思いの方もいらっしゃると思います。

この辺りが選べず、強制的にインドネシア国内でワクチン接種しなければ帰国すらできないというのはかなり行き過ぎの印象を受けます。

 

現状を見ていると、インドネシアを今年中に訪問するというのは早々に諦めた方が良さそうですが、ゴトン・ロヨンの精神で、合理的な措置をとり、なんとかこの難局を乗り切ってもらいたいところです。

 

それではまた次回!

 

なお、ワクチン接種義務・移動規制・ビザ申請条件は、比喩ではなく日々変化しておりますので、必ず最新の状況を確認してください。

 

最近の事件について

Selamat sore!

 

最近は国内の事案で忙しく過ごしておりましたが、その間にインドネシアで、しかも私が留学時に訪問した思い出深い島で悲しい事件が再び起きてしまいましたので、今回はその話をさせていただきたいと思います。

 

まずは、先月28日、スラウェシ島南部のマカッサルという都市にある教会付近で自爆テロと思われる爆発が起きました。マカッサルは、以前こちらのブログでもご紹介したトラジャ村訪問時に立ち寄った大きな街でした。国民の大半が暮らすインドネシアですが、マカッサルがあるスラウェシ島は、キリスト教の方が多く、私が訪問したトラジャもキリスト教と土着文化が混じり合ったような形でした。

事件はこの日にとどまらず。その3日後の先月31日には、首都ジャカルタのインドネシア国家警察本部でも銃撃テロが起きております。

 

報道を見ておりますと、いずれもイスラム過激派の犯行のようですが断定はできないところです。留学時代のカトリック教徒のインドネシア人の友人に聞いてみましたが、最近急に宗教対立が激しくなったわけではないという話をしていましたが、バリ島のクラブやジャカルタの外資系カフェでも過去に爆破テロが起きていることからすると、残念ながら、「多様性の中の統一」というインドネシアの国是の達成への道のりはまだ遠いようです。

 

他にも、一昨年のクリスマスに私が(ほぼ)横断したインドネシア東部のフローレス島でも、4月4日に豪雨による鉄砲水で44名もの方がお亡くなりになってしまいました。

訪問時に現地を案内してくれた友人の家族・親戚の人たちは無事だったようですが、ただでさえコロナウィルスの影響が続く中で、更なる天災・人災までもが襲っており、現地の人々の生活が非常に心配されます。

 

今回は暗い話題になってしまいましたが、インドネシアは元々は気性の穏やかな人が多く、生活していてもそれほど心配になるような危険を感じたことはありませんでしたので、早く本来の姿に戻って欲しいところです。

 

それではまた次回!

第10回国際民商事法シンポジウムを受けて(その2)

Selamat sore!

皆様こんばんは。

前回は、3月4日に開催され、当事務所のウドムチャイ弁護士もゲストスピーカーとして参加致しました国際民商事法シンポジウムを元に、ジョイントベンチャー法制についてお話しさせていただきました。

このシンポジウムでは、私が留学に行っていたインドネシアについても発表がありましたので、今回はインドネシアについてもう少しフォーカスしてお話したいと思います。

 

インドネシアにおいても、前回お話ししたタイと同様、外国投資に対する規制(ネガティブリスト)があります。

シンポジウムでも発表されていましたが、これまで最新だった2016年版から2021年版に改訂されることとなりました。この話はまた別の機会に詳しくお伝えしたいと思います。

このシンポジウムでは、まず、そもそもインドネシアに対する投資方法として、新しくP T(日本でいう株式会社)を設立するか、それとも既存のP Tを買収するかということがテーマとして取り上げられていました。

新たな会社を設立する手続に関する条文については、本ブログのインドネシア株式会社法を概説した記事(https://nishizawa-law.com/blog_idn/?p=1831)にも掲載しておりますので興味がある方は是非ご覧ください。

一般的には、新たに株式会社を設立する場合、会社設計を自分で決められる自由度はあると思いますが、その反面、手続(特に許認可)に時間・費用がかかってくるデメリットがあると思います。

 

2つ目のテーマは、チェンジオブコントロール条項についてでした。

チェンジオブコントロール条項(COC条項)とは、一般に、株式買収等の理由により、会社に対する支配権の移転が生じた場合にかかる制約に関する条項をいいます。

ここで注意が必要なのは、インドネシアにおいては、必ずしも支配権の移転=株式過半数の取得ではないという点です。この支配権の移転は、実質的な観点から判断されるものですので、シンポジウムでも、例えば現地企業が90%の株式を保有していたとしても、その株式が全て議決権を有しない株式であれば、残りの株式10%(全て議決権付株式)を取得した場合でも支配権の変更にあたると説明されていました。

この支配権の変更に該当する場合には、その会社は、日刊紙での発表や報告書の作成など、従業員や債権者の保護のための様々な手続を行う必要があります。

 

最後の3つ目のテーマはこのシンポジウム全体のテーマであるジョイントベンチャー契約についてでしたが、この部分は、他の国とも共通する部分が中心でしたので割愛します。

 

今回は、インドネシアにおけるジョイントベンチャーについてお話をさせていただきましたがいかがでしたでしょうか。

インドネシアの現政権は、外資に関してかなりの開放的政策を進めている印象ですが、昨年の外資誘致を促進する条項を含むいわゆるオムニバス法の改正に伴い、これに反対した大規模デモが発生する等、今後もその動向を注視していく必要があります。

それではまた次回!

 

2021年 新年のご挨拶

Selamat tahun baru!

新年あけましておめでとうございます。

 

昨年は新型コロナウィルスの影響で、どなたも大きな影響を受けた年になったと思います。

私自身、インドネシア滞在を切り上げて帰ってくる事になる等、様々な予定変更を余儀なくされた年でした。

今年こそはと信じたいところですが、インドネシアでは新型コロナウィルスの新規感染者数が年明け以降、ついに1日1万人を超え、20日時点では12000人をも超えているという状況です。

それだけではなく、インドネシアでは年明けにも苦難が立て続けに起こっております。

1月9日、ジャカルタのスカルノ・ハッタ空港から離陸した飛行機が、近郊の海上で墜落するという事故が発生し、乗客乗務員ら62名が亡くなられました。スリウィジャヤ航空という私は使ったことない航空会社でしたが、インドネシアでは各地に航路を持つL C C航空会社です。インドネシアでは2018年にも別のL CCであるライオンエアで墜落事故が起きたばかりでした。そういえば、2018年の墜落事故も、今回と同様、ジャカルタの空港を離陸してすぐの海上で起きていた記憶ですね。今回の事故現場は、プラウスリブ(千の島という意味です)というジャカルタから船で行けるリゾートの近くだったようです。

そんな悲しみも明けないうちに、15日にはスラウェシ島西部でM6.2の地震が発生し、少なくとも81名が亡くなられたとのことです。スラウェシ島は、以前ブログでも書きましたが、日本でも「トラジャコーヒー」の名称で知られるタナ・トラジャがある島です。ただし、島自体は島国インドネシアでも4番目を誇る大きさですので、今回の地震も私が訪れた地域とはかなり離れた場所でした。

亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

他にも、ジャワ島では12日には中部のムラピ山から岩石が噴出、17日には東部のスメル山が噴火したり、カリマンタン島では大雨で2万戸が浸水したりするなど、新型コロナウィルスだけでなく、自然災害が立て続けに起きております。

このように試練が続くインドネシアですが、1つ明るいニュースがあります。

それは、新型コロナウィルスのワクチン摂取が始まったことです。

中国製のワクチンというところで、日本では使用条件や臨床実験結果があまり報道されていないので効果のほどが分からないのですが、ジョコ大統領が13日に接種を行い、これを皮切りに国民全体への摂取を始めました。また、欧米諸国と違い、接種の優先順位は、高齢者ではなく生産年齢(18歳〜59歳)を優先するようです。重症化リスクの重たい方を取るのか、それとも感染拡大阻止・経済再開のために生産年齢人口をターゲットにするのか、命に関わるの極めて重大で、かつ、答えがないという非常に難しい選択ですので議論があるところだと思いますが、いずれにせよワクチン接種が進み、1日でも早くインドネシアをまた訪問できる日を心より待ち望んでおります。

年明けから暗いニュースばかりで気が滅入りそうですが、これからは明るいニュースも増えると信じて頑張っていければと思います。

それでは皆様、本年もよろしくお願い申し上げます。

法務ブログ始めました(インドネシアの現況について)

皆様、ご無沙汰しております。

更新がだいぶ途絶えてしまい恐縮でございます。

3月下旬より緊急一時帰国したものの、結局そのままインドネシアには戻れずじまいで、現在は東京で業務を再開しております。

従前は、インドネシア留学ブログとして記事を書いてきて参りましたが、8月に無事、留学プログラムを終了いたしました。

これに伴い、今後は心機一転、「インドネシア法務ブログ」に名称を変更しましてインドネシアにまつわる記事を引き続き書いていきたいと思います。

今回は、最近のインドネシア情勢についてお話したいと思います。

まずは世界的な影響を及ぼしている新型コロナについて。

インドネシアは残念ながら、新型コロナウィルスの抑え込みに失敗したと言わざるを得ません。

ここ一週間は新規感染者数も3000人を下回るようになってきましたが、9月~10月は1日4000人程度の新規感染者数で推移していました。

それにもかかわらず、ジャカルタ州知事は、4月から始まった大規模社会的制限(PSBB:日本でいう緊急事態宣言に該当します。)を10月12日付で緩和(移行措置)することを決定しました。緩和措置により、レストランでの飲食が可能(ただし、席数は半分以下の制限があります)となる等、経済の回復を狙った措置が取られています。私のインドネシアの友人も祝日を利用して海に小旅行したと言っていました。

幸いにして、現状では感染者数が落ち着いているので奏功しているとも言えますが、今後の状況は引き続き注視していく必要がありそうです。

(外務省も感染症危険情報レベルをレベル3(レベル4が最高)のまま維持しております。)

他方、菅総理は、就任早々、ベトナムの次にインドネシアを訪問していました。

ベトナムはともかく、インドネシアは感染リスクも低くない中での訪問でしたので驚きましたが、報道の映像を見る限り、ジャカルタではなく、ジョコ大統領の邸宅があるジャカルタ郊外のボゴールで会合を開いたようですね。

ちなみにジョコ大統領は、ボゴールにある有名な植物園内の邸宅に居住しており、土曜日にこの植物園に行くと大統領に会えるかもしれません。

かくいう私も、たまたま土曜日に植物園を散歩していたら、大統領の乗車する車に遭遇しました。大統領も気さくに周囲の人々に手を振って応じ、これにまた人々が群がるといった様子で、国民の人気がうかがえました。

大統領を間近で見た際は写真を撮り忘れてしまった(あっという間に過ぎ去ってしまいました)ので、その後に丘の上から撮った写真ですが、大統領に気づいた人々が道路沿いに群がっているのがお分かりかと思います。

しかしながら、そんな大統領も国内情勢はかなり不安定な状況にあります。

日本ではあまり報じられていませんでしたが、10月は大規模なデモが行われていました。

原因はオムニバス法案と呼ばれる法案です。

オムニバス法案は、文字通り複数の法改正が法案化されたものですが、今回の法案は、雇用創出のための投資誘致を目的としたもので、労働(最低賃金、退職金、失業補償)、投資など11分野について、関連する法律79本を一括して改正するものです。

インドネシアの友人に概要を教えてと聞いたら、1000頁あるからすぐには無理と言われてしまいました。。。

詳細については別途ブログでご紹介できればと思いますが、最低賃金の算定方法改正や退職手当の引き下げ、外資規制の緩和も含む内容だっただけに、労働組合等が大きく反発する事態となり、デモ参加者が暴徒化し、投石、放火等の事態に発展してしまいました。

それに加え、直近ではフランスのマクロン大統領の発言に反応したイスラム団体がさらなるデモを行う事態となっております。。。
こちらは今のところ先のデモほどの暴徒化には至っていないようですが、今後のフランス政府の対応によってはこちらもさらなる問題に発展してしまうかもしれません。

様々な問題が噴出しているインドネシアですが、オムニバス法案は日本企業にとっては進出チャンスといえますので、今後の動向に注目したいと思います。

それでは、また次回!