デポックの市場とインドネシア(ジャカルタ近郊)の食文化について

今回は、私が住むデポックにある、庶民向けの市場について紹介したいと思います。

なお、以下ではかなり生々しい食材の写真が含まれますので、刺激の弱い方やお子様の方は決してスクロールしないでください。

また、通信環境の関係で画質を落としてアップロードしなければならないため、かなりピンボケしたように見えるかもしれません。何卒ご容赦頂ければと存じます。

 

 

さて、今回、知り合いのインドネシア の弁護士の方と食事をする前に、デポックの市場に連れて行ってもらいました。

新しい国に行くと、可能な限り私は市場を訪れるようにしています。

現地の人がどのような食材を食べているかがよく分かるので、生活を把握するにはうってつけです。

 

 

まずは野菜から。

インドネシアでの食生活で苦労する点の一つとして、野菜の摂取があります。一応、インドネシアにもガドガドというサラダがあるのですが、ピーナッツソースがべったりとかけられているせいか、食べても全然健康になった気がしません。。。

それでも、スーパーや市場には一応日本で食べるのと同じような野菜を見つけることができます。ただし、品質は・・・。流通が発達していないせいで、特にスーパーで買うときは腐ってないかを確認してからじゃないと買えないレベルです。鮮度を気にするなら市場に行けとインドネシア人にも言われました。

インドネシアの人々はあまり野菜が好きじゃないみたいですね。

 

続いて、謎の香辛料たち。インドネシア人は本当に辛いものが大好きです。こちらではサンバルと言うのですが、サンバルなしには生きていけないようです。日本人にとっての醤油のような存在ですね。このため、インドネシアで薄味のものを食べようとするとたちまち困難に見舞われます。日本食レストランもあるにはあるのですが、インドネシア向けにアレンジされたものも少なくありません。

この国で驚いたのは、海に囲まれた島国であるにもかかわらず、海水魚よりもナマズ(lele)料理を見かける機会が多いということです。

鯰も、思ったよりも骨が多いものが多く、食べるのに苦労します。

ただ、この市場では幸いにも魚ががあり、ほっとしました。ただ、やはり流通の問題なのか、決していい匂いがするわけではないのでさっと通り過ぎます。

ここからが本番です。

日本では考えられない売り方ですね。。。

別の場所では、加工前の子たちが大人しく待っていました。。

インドネシアの人々は本当によく鶏肉を食べます。私の住むデポックもイスラム色の強い地域なので、豚肉やお酒を見かけることはありません。(それらを飲食したい場合はジャカルタまで出かける羽目になります。)

人によってはこんなの食べられないと思うかもしれませんが、日本でも誰かが流通の過程で同じことをしてくださっていることを思えば、私にとってはむしろ食べ物のありがたさを再認識させてもらう光景でした。

自信はないのですが、多分牛です。焼肉屋でみたことがあります。勿論、カットされたものですが。。。

率直な感想として、さすが牛のサイズだなと思いました。

こちらの人はどうやって買うんでしょうね?丸ごとはとても一家庭では消費できなさそうです。

牛も、ヤギと並んでインドネシアではメジャーな肉です。ただし、日本と同様、鶏肉の方が安いため、鶏肉の方がよく食べられているイメージです。

最後に・・・オックステールスープの原材料ですかね。

以上、なかなか刺激的な光景でしたが、命をいただく有り難みを感じさせる体験でした。

今回はさっと回っただけでしたので、値段等の細かい情報は確認できなかったのですが、次に訪れた際はチェックして、実際に購入してみたいと思います。

刑法改正等に関する近時のデモについて

インドネシアで生活していると日本では想定されない色々なことが起きます。

身近なところで言えば、アパートに入っていたWi-Fi業者が10月1日になんらの通知もなく、突如サービスを打ち切りました。私の部屋はそもそも携帯の電波が届きにくいため、お陰で家ではインターネットが使えない日々が続いております。。。

 

さて、日本の日常生活では想定されないものの最たる例として、デモが挙げられると思います。日本でも、東京で勤務していた際は、霞ヶ関の裁判所周りでもよくデモ行進を見かけましたが、せいぜい4列縦隊の整然としたもので、なんとも可愛らしいものでした。

インドネシアは違います。日本ではパプアのデモ(暴動)が報道されていたようですが、2019年9月下旬、ジャカルタは大規模デモの真っ只中でした。

抗議内容は刑法改正を中心とする近時の法改正に対するものです。

そもそもの前提として、インドネシア の刑法は基本的にオランダ植民地時代に制定されたままになっていたようで(民法も未だにオランダ植民地時代のままです。)、真の独立を目指してその改正を長年審議していたようです。

しかし、その内容が知れるや、直近で汚職撲滅委員会の権限を縮小させるような改正がなされていたことも相まって、学生を中心にその正当性を疑問視する声が高まり、法案の撤回を求めて、ジャカルタを含む複数の大都市で大規模デモに発展しました。

報道によれば、1998年のスハルト失脚時以来の大規模デモだそうで、2019年9月25日時点で、少なくとも300名以上が負傷、94名が逮捕され、その後には、死者まで生じる深刻な事態となりました。

海外メディア(日本は除かざるを得ませんが)が特に取り上げていたのは婚外の性交渉に関する刑法改正ですが、他にも大統領への不敬罪や堕胎に関する罪も新たに規定されるなど、イスラム色が濃く、かつ、民主化から遠ざかる内容(報道機関からすれば言論の自由に対する弾圧する内容)となっていました。

また、定住地のない方に対する罪(これに関しては日本も他人事ではないですね。軽犯罪法1条4号がありますから。)だったり、女性が夜間に一人で歩くことを処罰する内容だったり、果ては家で飼っている鶏が隣家に侵入することに対してまでも刑罰を科すことまで法案に含まれるなど、俄かには信じられないような話も出ていました。

 

また、法案の内容もさることながら、その改正に至る経緯自体も問題となっていたようです。

前回行われた選挙の結果に基づき、10月1日に新国会が成立することになっていたのですが、政府は旧国会期間中に、選挙で争点となっていなかった上記法案の成立を目指したのです。

結局、ジョコ・ウィドド大統領が法案の審議延期を発表しましたが、その後もデモは法案自体の撤回を求めて10月2日頃までは続きました。

私が現在在学しているインドネシア大学からは、この期間は一切ジャカルタ、特にデモ発生地には近づかないように命令が出ていたため、デモの様子をこの目で見ることは叶いませんでしたが、連日、テレビ局がトップニュースで扱っていました。

現在、デモは無くなったようですが、法案自体が撤回されたわけではなさそうなので、今後もインドネシア がどのような道を進むのか、経過を注視していきたいと思います。

 

しかし、今回の事件で私が一番気になったのは、何が「事実」かよく分からないということでした。私も弁護士の端くれとして、本件の情報収集に努めるべく、法案に対し声高に反対するインドネシア大学の学生複数名に、「インドネシア語でいいから、法案そのものを見せてくれ」と尋ねたのですが、その内容を直接見た人は、少なくとも私が尋ねた学生の中には一人もいませんでした。つまり、法案の内容を自ら吟味しないまま、デモを行っていたのです。

インドネシア人の友人に国会のホームページを見てもらいましたが、どうも法案は掲載されていないようです。

このため、結局、どこまでが真実なのか、未だによくわかりません。例えば、婚外の性交渉についても、婚外の性交渉全てを禁止したと記載する新聞と、同棲する男女にのみ限定しているように報道する新聞とがあり、その構成要件すら判然としません。まして、鶏が隣家に侵入したら罰金刑など、到底そのまま鵜呑みにするわけにはいきません。。。

 

私がインドネシアに来てまだ2ヶ月しか経っておらず、インドネシア語も分からないことが、主な原因なのでしょうが、この国で「事実」を議論することの難しさを痛感した2週間でした。