フローレス地方の伝統儀式;theng hang

今日は、お世話になっているご家族に先週末招いていただいた、フローレス地方の伝統儀式についてお話ししたいと思います。

(注:血を見るのが苦手な方は決してこの後を読まないでください。)

インドネシアには13000を超す島があるので覚えるのが大変ですが、その島々で300を超える民族が独自の文化・言語を形成していますが、先のフローレス地方とは、世界最大のトカゲ・コモドドラゴンで有名なコモド島の近くの島です。

このフローレス地域には、theng hangという伝統儀式をジャカルタ近くのBekasi(近くと言ってもジャカルタ中心から電車で45分くらいで、私の家からだと90分はかかります。。。)の自宅で行うということで、今回お招きいただきました。

こtheng hangという伝統儀式は、ご先祖の方々との対話を行うもので、意味合い的には日本のお盆に近い気がします。

ただし、やり方が現代日本のそれとは全く異なり面白いです。

最大の相違点は、彼らが先祖と対話するためには、動物の「生き血」が必要だという点です。。。

まず、このような感じで、家族みんなで集まって先祖にお祈りを捧げます。真ん中のお父さんが抱えているのが、今回の儀式で用いられる鶏です。。。

このご家族はインドネシアでは珍しいクリスチャンなのですが、この儀式にはクリスチャンであることは関係なく、フローレス地方の方々は宗教に関係なく行うそうです。宗教以前から伝わる儀式なので関係ないとのことです。

 

一通りお祈りを終えると、この可愛い鶏が犠牲となり、生き血をお皿に流します(写真は撮ったのですが、さすがにアップは控えたいと思います)。。。

そして、一家の代表のお父さんが、血を眺めます。。。

何してるの?と他の人に聞いたところ、血を通して、先祖が今ここに来ているか、来ていたとして、何を伝えていたかを読み取るのだそうです。

ご先祖様に鶏肉を捧げ、その後家族で美味しくいただきました。(儀式の前には食事をしてはいけないそうです。)

ちなみに、鶏であることに意味はあるのかと聞いたところ、動物の血であればいいらしく、豚でやることもあるとのことでした。今回は「家の中で儀式をやるので、豚は無理でしょ?笑」と言われてしまいました。

日本の現代の風習からいうとなかなか直視するのも難しい光景ではありましたが、インドネシアの方々の先祖を真摯に想う気持ちが伝わってくる儀式でした。

色々な伝統文化を体験しながら、インドネシア人の心を学んでいきたいと思います。

 

 

 

 

インドネシア 弁護士会(ADVOKAI)訪問

今回は、私が運営委員を務めておりますJILA(日本インドネシア法律家協会)のメンバーが今週火曜日に訪問したインドネシア の弁護士会KAIについてご紹介したいと思います。

日本にも弁護士会はあるのですが、インドネシアの法曹制度は日本とは大きく異なっているため、必然的にその役割も大きく異なります。

特に、インドネシアの弁護士会は独自に資格試験を実施し、この試験に合格すれば基本的に弁護士になれます。日本のように、裁判官・検察官・弁護士と同一の試験を受け、同一の研修を受けるわけではありませんので全然違いますね。

このように独立権限を有するインドネシアの弁護士会ですが、一旦は統一弁護士会(PERADI)を弁護士法により設立していたものの、現在は再度分裂し、今では6つの弁護士会が存在しているようです。

 

今回訪問させていただいたのは、その弁護士会のうちKAI(Kongres Adovokat Indonesia)というところです。

皆さん気さくな方々で大変歓迎していただき、

このように日本語の歓迎のボードまで作っていただきました。

 

こちらのKAIにはインドネシア全体で5〜7万人(正確な人数は分からないと言われてしまいました)中、約25000人のインドネシア人弁護士が所属しているということです。

 

先程述べた弁護士会の分裂について理由を伺いましたが、何か特定の決定的要因があったというわけではないが、残念ながら明確な答えは返ってきませんでした。

(そもそも前にあった統一弁護士会も真の意味で1つになれていなかったというご説明でした。)

今後の方向性としては、今ある複数の弁護士会を統一するというよりは、むしろ既存の弁護士会の上位組織として、別の団体を作る動きがあるそうですが、今年選挙したばかりで、まだ法制化できるかわからず、道はまだ遠いということでした。

日本と違いインドネシアでは各弁護士会がそれぞれ弁護士資格試験を実施するため、各団体で足並みが揃わなければ、弁護士の質の低下は今後大きな問題となりえます(極論を言えば、最大派閥を形成するために特定の弁護士会が試験の難易度を下げ、人数を増やしやすくすることも考えられます)ので、弁護士としての信頼を得るためには少なくとも試験制度の統一は実現していただきたいところです。

 

また、法曹に対する信頼と関連してインドネシアで必ず問題になるのが、法曹の汚職です。
直近では発覚したのが年に4件程度だそうですが、KAIの会長ご自身、未発覚の事例は他にも存在することを認めていました。若い裁判官だけでなく、ベテランの裁判官や大学教員まで務める弁護士も現に捕まっており、かなり由々しき問題となっております。

裁判官の初任給を伺ったところ、年間1億4400万ルピア(現在のレートで約110万円)ということなので、所得の低さ(と言ってもインドネシア全体の平均からすれば決して低額ではないと思われますが)も要因の一つなのかもしれません。

白熱した意見交換が行われましたが、こちらからは日本のお菓子をお土産に贈呈いたしましたところ、

(左が、KAI会長のHERNANTO先生、右がJILA会長の草野先生です。)

私を含め全員に盾と会員バッジをいただきました。

今後もインドネシアの弁護士会動向は注視して参ります。

 

おまけ

インドネシアで会合等に出席すると、必ずと言っていいほど水とともに↓の箱が目の前に置かれています。

この箱の中はというと,,,

大体このような感じで、お菓子と揚げ物、時にはちょっとしたパン(roti)が入っています。

勧められるので毎回食べるのですが、会合が一日3回あったりすると、もうこれだけでお腹いっぱいになって夕食を抜かなければならなくなるなどの弊害が出ます。

皆様もインドネシアで会議に出るときはご注意ください。

(歓待の証しなんですけどね。。。)