以前、J I L Aでインドネシアの司法研修所(日本とは違い、裁判官のみが研修を受けることができるようです。)を訪問した際、裁判官の仕組みとして、通常裁判所の人事は一方通行だと聞いたことがあります。例えば、日本では、はじめは地方裁判所の左陪席(3人の裁判官のうち、法廷で左に座る人で、若手の裁判官が務めます)からスタートしても、その後に地方裁判所の右陪席→裁判長となるとは限らず、大抵は、途中で高等裁判所の左陪席や右陪席を経験して、地方裁判所の裁判長となり、そこからさらに高等裁判所の裁判長へと進んでいくように思います。これに対し、インドネシアでは、地方裁判所の左陪席から始まるところは同じでも、そのまま地方裁判所の右陪席→裁判長を経て、高等裁判所の裁判官となるようで、高等裁判所の裁判官が地方裁判所に戻ることは原則としてないようです。データを調べたわけではないので確証はないのですが、もし本当だとすると、若手は経験豊かな裁判官と仕事を共にする機会が少なく、人材育成の観点からは些か問題がありそうですね。
さらに、インドネシアの特徴として、最高裁判所とは別系統で憲法裁判所が設置されています。こちらの写真が、2017年に同じくJ I L Aで憲法裁判所を訪れた際のものです。