インドネシアにおける慣習法 その4

皆さん、こんにちは Salam Sejahtera !

 

改めて今年も私がインドネシアについてご紹介させていただきますので、何卒宜しくお願い致します。

 

去年のインドネシアにおける慣習法を再びお伝えしたいと思います。今回は裁判所における慣習法の適用について説明します。

 

慣習法の規定は、行動規制、行動に対する結果を含めた全体的な振舞い、紛争解決の手続き、および社会的相互作用を規制するその他の事項を定義されています。

慣習法はインドネシア全国の裁判所に適用され、慣習・伝統的な主権が強い地域の地方裁判所及びその裁判官には、地域固有の慣習・伝統的な掟を理解する必要があります。

2009年第48号の司法権に関する法律の第5条第1項に基づき、裁判官および憲法裁判官は、社会内に存在する慣習法の価値観と正義感を探求し、理解し、従う義務があります。これは、裁判の流れと裁判官による判決がアダット・慣習社会における慣習法に基づくべきであると示しています。

裁判官が判決を下す重要な要素は以下の通りです:

    • 伝統的な社会構造はまだ維持されているか、または変化していたかを考慮する
    • 村長、首長等とその伝統的な機関は、依然として慣習法の執行者としての役割を果たしていられるかを考慮する
    • 民族に対して、紛争・事件解決が類似する以前の紛争・事件判決・解決法と一貫しているかを考慮する
    • 慣習法の規律が維持されているか、または変化されているかを考慮する
    • 慣習法が憲法や国家政策法に矛盾しないことを考慮する

慣習法を適用する裁判所の審理において、裁判官は次のような判決を下します(判決の種類):

  1. 前例同様する、裁判官の判決は前例と同じ内容を含む判決(判例法)。事件が過去にある事件と同じであるか、同時に発生するからです。
  2. 適応する、裁判官の判決の内容が慣習法または伝統的な規律に合わせて調整される判決。
  3. 逸脱する、裁判官の判決は適用される慣習法の規律から逸脱した内容を含む判決。
  4. 除外する、裁判官の判決は適用される慣習法の規律を除外または無視する判決。
  5. 中立する、裁判官の判決は当事者の不明瞭な説明の間で中立した判決。
  6. 変更する、裁判官の判決は古い慣習法の規律を新たな慣習法の規律に変更する判決。
  7. 新しくする、裁判官の判決は現代において適用得ない古い慣習法の規律を置き換える法の規律を含む判決。
  8. 拒否する、不適切であるとして当事者の要求または訴訟を拒否する判決。

上記はアダット・慣習社会での判決の執行において不整合が生じないように、裁判官には誠実性と社会感受性が求められ、徹底的に適切な判決を下されます。

インドネシアの裁判官は義務重大で、国家の規定・法律を理解するだけで必死なのに、慣習法を理解するまでとは尊敬の極みですね。

今回の慣習法についてはここまでにしておきます。次回には慣習法について触る予定はありませんが、関連する事件や話題があればと思います。

 

いつもご来訪頂き、感謝を申し上げます。

では、また次の機会に! Sampai Jumpa !